2025/10/09 20:07
10月に入ってからオリーブオイル用の収穫と搾油が続いています。
今年は降雨の影響でどの品種もこれまでに見たことがないくらい大きく膨らんでいます。
9月後半からの雨も影響してか、果実のなかには水分が多めです。そのこともあり、搾油の設定にしばらく手間取ってきました。
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オリーブオイルを搾る機械を搾油機といいます(採油機と呼ぶ人もいます)。
昔は圧搾でオイルを搾っていたこともあったそうですが、現在は遠心分離機でオイルを取りだすのが主流です。
実をつぶして作ったペーストを遠心分離機のなかに入れ高速回転させます。しばらくすると筒型の機械のなかでそれぞれの層が出来てきます。重いものから順に種→果肉→果汁の層が出来、1番軽いのがオイルとなります。
なのでオイルは遠心分離機の1番中心に近い方に位置し、種や果肉は1番外に位置します。オイルを取り出す方法は、ざっくり言うとオイルの層にピンを挿し込むようなイメージです。
ちなみに、日本で使われている小型搾油機のほとんどが2フェーズ式で、オリーブオイルとそれ以外、を一発で分けます。この機械でオイルを取り出したら、次の行程はろ過だけです。
大型の機械になると3フェーズ式のものもあり、それはまず液体(オイル&果汁)と固体に分け、そのあとに縦型の遠心分離機(セパレーター)で再度オリーブオイルとそれ以外の液体を分ける、という行程になります(オリーブファクトリーさんなんかがこのやり方です)。
なので、2フェーズ式のわたしたちは一発できれいなオイルを採ることが求められます(くれぐれも、ここではどちらの方式が良いということを言いたいわけではなく、それぞれにオイル抽出に特徴や強み弱みがあることを理解していただきたくて書いています)。
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搾油機の方式を説明した上で、次はそこに入れる実の話。
果実の大きさやその中に含まれている水分量は日々変わります。果肉や果汁が多ければ多いほど、オイルの層は遠心分離機の中心に寄ります。
搾油技師はその日までの雨の量や園地の水はけや水分量、品種の割合と過去のデータを参考に、その日に最適なピンの位置を決めていきます。
結構アナログなんですね、オイルを採り出すための作業ってのは。
このピンの位置を間違って設定してしまうと、延々と果汁(混じりのオイル)を採ることになります。
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で、話は最初に戻ります。今年の実について。
今年はとにかく実が大きいです。
例年のデータがまるで使い物にならず、泣く泣く遠心分離機に送るペーストの量を最小限にするなど調整を重ねてきましたが、今日ようやく「ズバリ」の設定できれいなオイルを採ることが出来ました(今日はルッカ種が多かったので、ミッション種メインの時にはまだ宿題が残ったままですが)。
今日のオイルなら、このあとのろ過(ペーパーフィルター)作業もスムーズです。ほとんど詰まることなく良いオイルをろ過出来るはずです。
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◆オリーブラボの機械
・Frantoino Bio(2フェーズ式)
◆今日の果実バランス
・ルッカ 58%
・ミッション 30%
・ネバディロ 12%
※熟れ具合は写真を参照ください
◆今日の設定
・ピン:1番奥から2.25回し
・ペースト送り量:最初から最後まで2.0(2.3くらいまで上げても大丈夫そうでしたが果汁が出てきそうで慎重に採りました)
◆加水:なし
◆オイル抽出
・ペースト送りをONにしてから21分後にオイルが出てきました
◆今日の搾油率:ろ過前で5.7%
※おそらく果実の水分が多く、例年の1.2倍くらいの重さになってると思われます。もし果実が8割の重さだとした場合、今日の搾油率は7.1%。感触的にはそれくらいの実のかんじでした。
全国の搾油技師のみなさんどうですか?
参考になれば幸いです◎
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【 瀬戸内いとなみ舎/オリーブラボ 】代表の峰尾はオリーブオイル搾油歴10年目。
江田島市オリーブ振興協議会の仕事として年間約30回の搾油経験を毎年重ね、自社にもイタリア製の搾油機を導入。
自社で搾油したオリーブオイルが『ニューヨーク国際オリーブオイルコンペティション(The NYIOOC World Olive Oil Competition 2024)』にて金賞受賞。
使用したことのある機械は
・OLIOMIO 60 PLUS
・Frantoino Bio
搾油作業を観光体験としても展開し、一般の方にもオリーブオイル搾油の奥深さを広める活動をしています。
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★新漬けオリーブ販売中です
次回発送は10/16を予定しています