2026/08/15 18:19

今年も世界各国からの学生さんたちが江田島のオリーブラボに来てくれました。
広島大学(NERPS)と笹川平和財団(SPF)が連携して行っている「ピーススタディツアー」。 今年は世界10か国から29名の学生が参加し、7月28日から8月6日まで広島に滞在して様々な切り口から「平和とサステナビリティ」について学び合う、というものです。
また詳しく書きたいと思いますが、いとなみ舎/オリーブラボも今年も受け入れを担当させていただき、約10名の学生と対話の機会がありました。
そのなかで、インドネシアから来た学生(国立イスラム大学シャリフ・ヒダヤトゥラ 在籍)が講義後にインスタからメッセージをくださり、対話が続きました。自分にとっても興味深かったので、ここに記してみます。
うちで実施している研修では、ときどきこんな対話がくり広げられてます、という一例です。
なお、めちゃくちゃ長いのでご用心ください笑
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質問:
こんにちは。社会や文化に関する興味のあるいくつかの質問をさせていただきたいと思います。
1. オリーブラボは、日本の高齢化という現象に対処するために、若者にどのように貢献を促していますか?また、これによって観察された結果や影響はどのようなものですか?
2. オリーブラボは地域社会でどのような役割を果たしていますか?また、オリーブ栽培は江田島のアイデンティティや文化にとってどのような意味を持っていますか?詳細を知りたいので、教えてください。
3. 地域住民や他のステークホルダーが、オリーブラボの活動について懸念や異なる意見を表明したことはありますか?
※注:「高齢化」がキーワードとして出ているのは、江田島市のオリーブ振興が、高齢化と耕作放棄地の増加対策のひとつとして始まった側面もあります、とわたしが説明したことをうけてのものです。
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峰尾:
あらためて、ご質問ありがとうございます。順番にお答えします。
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【1. 若者への関わりと、高齢化への対応について】
オリーブラボでは、「若者を特別に集めるためのプログラム」を強く打ち出しているわけではありません。
むしろ大切にしているのは、『年齢や出身に関係なく、人が自然につながり、関わりが生まれる場をつくること』です。
江田島のような島では、若い世代が「ここに役割がある」「自分の長所が活きる」と感じられるかどうかが、とても重要だと考えています。
そのため、
・オリーブの収穫やテイスティング体験
・農家や漁師との交流
・「島ラボ」という、移住者・地元住民・島外の人が混ざる交流の場などを通じて、若者を含む多様な人が島と関わる機会をつくっています。
観察されていることとしては、
・一度体験で訪れたひとたちに関わりが生まれ、何度も島に会いに来てくれるようになる
・移住を考えるきっかけになる
・島で何かやりたいという想いを持つ人と、地元の人とが自然につながる
・峰尾と同じように、「江田島で農業をやりたい」と移住してきた人が複数いる
といった変化があります。
「高齢化対策のための若者誘致」というより、『島で生きる・関わるよろこびを増やすこと』が、結果として地域の持続可能性につながると捉えています。
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【2. 地域社会での役割と、オリーブ栽培の意味について】
オリーブラボの役割は、大きく分けて次の3つだと考えています。
1. 江田島産オリーブオイルを通じて、島の自然と食の魅力を伝える場
2. 農業・観光・交流を組み合わせた「体験の入口」になること
3. 島の内と外の人が出会い、「また来たい」「関わりたい」と思える関係をつくること
オリーブ栽培そのものは、江田島にとって比較的新しい取り組みです。
しかし、
・島の斜面や気候を活かした農業であること
・「ただの作物」ではなく、オイルや体験を通じて人をつなぐこと
・移住者である私自身が、島の未来を考えながら取り組んでいること
といった点から、徐々に「江田島らしい産業・文化」のひとつになりつつあると感じています。
昔からある漁業や柑橘栽培とは違う形で、島の新しいアイデンティティを育む可能性を持っていると考えています。
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【3. 地域住民や関係者からの懸念・異なる意見について】
大きな反対や深刻な懸念が寄せられたことは、現時点ではほとんどありません。
ただし、当然ながら「新しい取り組み」に対しては、さまざまな見方があります。
・「オリーブは江田島に本当に合うのか」
・「観光や体験が、島の静けさや日常を変えてしまわないか」
・「なぜオリーブばかりを優遇するのか」
・「移住者中心の活動に見えてしまうのではないか」
といった声や、静かな距離感を感じることはあります。わたしたちは、そうした声を否定せず、できるだけ丁寧に説明し、実際に体験してもらうことを大切にしています。
「島ラボ」のような場で、地元の方と移住者・島外の方が直接話す機会をつくることで、理解が少しずつ深まっていると感じています。完璧な合意形成は難しいですが、「顔の見える関係」を積み重ねることが、一番大切だと考えています。
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また、オリーブラボの事業や、峰尾個人の活動のなかで、高齢化や地域への影響や効果について、直接的なものから間接的なものまでさらに書き出してみます。
◆地域おこし協力隊
「地域おこし協力隊」は国の制度で、都市部の若者が江田島市に移住して特定のミッションを果たすために江田島市の職員となって働く制度です。
いとなみ舎の峰尾は2016年に江田島市にとって初めてとなる地域おこし協力隊として着任しました。峰尾を含む1期生の協力隊の活動が好意的なものであったことも要因のひとつとして、以降も江田島市は毎年地域おこし協力隊を採用しています。
その任務は、オリーブにとどまらず、観光やプロモーション、移住支援や空き家対策など多岐にわたります。2017年以降、江田島市は18人の協力隊を採用しました(1期生を含めると22人)。その多くが20代30代40代で、3年の任期後も7人(1期生を除いた数字)がそのまま江田島市に定住、現在も7名が活動しています。
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◆他社のオリーブ商品化に貢献
いとなみ舎は自社の商品を作るだけでなく、他事業者のオリーブ商品化を手伝っています。
いとなみ舎にある搾油機を使い、他の農家さんが育てた実を預かってオリーブオイルの商品化を手助けしています。これまでに5つの事業所のオリーブオイルづくりを助けました。
そのうちのひとつ「ひらいファーム」は、オリーブオイルと、オリーブ果実水を活用した化粧品(ハンドクリームとフェイシャルマスク)をひらいファームの事業としてさらに商品化しています。
また、いとなみ舎の近くにあるクラフトビール醸造所と連携し、オリーブの搾りかすを用いた「オリーブビール」を2024年から「江田島ワークス」社が製造しています。
新商品が増えるということは、各社に売り上げがあるということであり、売り上げがあることは雇用の維持にも繋がっています。表にはあまり出ていませんが、いとなみ舎の貢献のひとつです。
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◆地域社会での役割
・地域の誇りのひとつとして成長
いとなみ舎は2019年設立の新しい会社ですが、2024年にNY国際オリーブオイルコンペティションで金賞を受賞、2026年のロンドン国際オリーブオイルコンペティションではプラチナ賞を受賞するなど実績をあげています。新聞やテレビ、ウェブ媒体などのメディアにも多く登場しています。
江田島市などの農村部における人々の特徴でもあるのですが、豊かな自然があるにも関わらず、地域住民は「ここには(東京や広島と比べて)なんにもない」と口にすることがあります。
そのなかで、江田島市の2011年からのオリーブ振興や、いとなみ舎の2019年からの取組みは、江田島市民にとって「やっぱり江田島市は魅力的な場所だった」と再確認や再発見する機会にもなっています。都市部とは異なる立地や現状をもつ江田島市でも、「やればできる」という機運を高めたのは、オリーブ振興がおこしたひとつの貢献といえると思います。
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長くなりましたが、以上がわたしからの回答になります。
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世界中から集まった学生さんたちということもあり、とても熱心で、具体的な質問をたくさんしてくださいました。
8月6日をひとつの起点に世界中の方たちと考える機会があること。とても有意義で有り難いことです。
こうして対話することで、自分の活動を振り返ったり深掘りしたり、自分自身でも定義づけたり、良い機会をいただいています。いい時間でした◎
